アルポート症候群

アルポート症候群とは

アルポート症候群(Alport症候群)は慢性腎炎、難聴、眼合併症の症状を示す遺伝性の病気です。最も多いのはCOL4A5遺伝子の異常によるX染色体連鎖型アルポート症候群で、この場合、男性患者さんでは女性患者さんに比べて明らかに重症となります。

アルポート症候群の症状

以下の3つの症状が見られます。

1)慢性腎炎

典型例では幼少期から血尿を認めます。ふつうは見た目では尿に血液が混じっていることは分からず、尿検査で初めて血尿を指摘されます。しかし、風邪を引いた際に肉眼的血尿と呼ばれる赤またはコーラ色の尿が出ることがあります。年齢とともに蛋白尿を認めはじめ、非常にゆっくりした経過で末期腎不全へと進行することがあります。最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性では40歳までに約90%の患者さんが末期腎不全に進行します。一方、女性では40歳までに約10%の患者さんが末期腎不全へと進行します。末期腎不全へと進行した際は、透析や腎臓移植など、腎代替療法と呼ばれる治療が必要です。

2)難聴

生下時や幼少期に認めることはありません。しかし、最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性ではほとんどの場合10歳以降に発症し、最終的には80%の患者さんで難聴を認めます。一方女性では20%の患者さんに認めます。

3)眼合併症

白内障や円錐水晶体などを認めることがあります。最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX染色体連鎖型アルポート症候群では、男性では約3分の1の患者に認めると報告されております。一方、女性においては非常にまれと考えられております。

4)びまん性平滑筋腫

非常にまれな合併症で、良性腫瘍を発症します。食道に最もよく見られ、その他、女性生殖器、気管にも見られることがあります。

アルポート症候群の治療

現在まで根治的治療法はありません。治療方針としてはいかに末期腎不全への進行を抑えるかに焦点が当てられております。具体的にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の内服による腎保護効果による治療を行います。治療開始は血尿に加え、蛋白尿を認めはじめた時期とすることがほとんどですが、海外からは男性患者においては診断がつき次第すぐに加療開始をすすめる報告もあります。 男性患者さんでは高頻度に末期腎不全へと進行します。男性患者さんの末期腎不全到達平均年齢は25歳くらいと報告されており、その後、血液透析や腎移植などの腎代替療法が必要となります。また難聴により補聴器を必要とすることもあります。

患者さん・ご家族のための
アルポート症候群Q&A

1) どのような病気ですか?

アルポート症候群(Alport 症候群)は遺伝する慢性腎炎で、しばしば末期腎不全へと進行します。慢性腎炎というのは、何の症状も無いけれど血尿や蛋白尿が持続的にみられ、少しずつ腎臓の機能が悪くなっていく状態です。末期腎不全というのは、腎臓の機能が悪くなり元に戻らない状態で、透析や腎移植が必要になります。
アルポート症候群では、難聴や眼の病気を合併することが特徴です。しかし、これらが無くてもアルポート症候群と診断される場合もあります。南アフリカ人のCecil Alport 医師が家族性に慢性腎炎を認めるイギリス人の大家族で、男性患者さんが女性患者さんより重症である点、および、慢性腎炎を有する患者さんではしばしば難聴を合併する点を初めて報告し、この病名がつけられました。

2) どのように見つかるのですか?

多くは健診の検尿で血尿を指摘され、発見されます。家族に同じ病気の人がいる場合は、予め検尿をすることによって発見される場合もあります。最も頻度の高いCOL4A5 遺伝子の変異によるX 連鎖型アルポート症候群では、男の子は生まれた時から血尿を認めることが多いので、血尿の程度が強い場合はオムツの色が赤っぽいことでみつかることもあります。

3) どのように診断されるのですか?

ほとんどの場合、腎臓の組織を直接採取して調べる腎生検という検査で確定診断することが可能です。本邦ではこの方法が通常の医療保険制度によって実施されます。場合によっては、皮膚の組織を採取して調べる皮膚生検という検査で診断できることもあります。腎生検と比較して皮膚生検は身体の負担が軽いので、腎生検ができない場合などに役立つことがあります。また、アルポート症候群は遺伝病ですので、遺伝子を調べることにより確定診断およびその遺伝形式に関して調べることができます。遺伝子変異の種類と重症度に関係があることもすでに分かっており、遺伝子診断が重症度の判定に役立つこともあります。ただし、これらの検査を行っても診断がつかないこともあります。今のところ皮膚生検による診断や遺伝子解析は通常の医療保険制度ではできません。

4) どのように遺伝するのですか?

一般的に遺伝の形式は3 つあり、アルポート症候群はいずれの形式も存在します。最も頻度の高いのはCOL4A5 遺伝子の変異によるX 連鎖型アルポート症候群で、この場合、男性患者さんでは女性患者さんに比べて明らかに重症の症状を呈します。また、比較的まれではありますが、COL4A3 遺伝子やCOL4A4 遺伝子の変異により、常染色体優性型や常染色体劣性型の遺伝もみられます。それぞれの特徴は以下の表の通りです。ただし、どの病型におきましても非典型的に重症の患者さんや軽症の患者さんがいることに注意が必要です。

推定エネルギー必要量

85〜90%の患者さんは家族にも腎炎の方がいます。残りの10〜15%は家族歴がなく、遺伝子の突然変異により発症します。突然変異により発症した患者さんの場合でも、次の世代に病気が遺伝します。

5) どのような症状がでますか?

以下のような症状が見られます。

<慢性腎炎>

典型例では幼少期から血尿を認めます。ふつうは見た目では尿に血液が混じっていることは分からず、尿検査で初めて血尿を指摘されます。しかし、風邪を引いた際に肉眼的血尿と呼ばれる褐色またはコーラ色の尿が出ることがあります。年齢とともに蛋白尿がみられはじめ、非常にゆっくりした経過で末期腎不全へと進行していきます。最も頻度の高いCOL4A5 遺伝子の異常に伴うX 連鎖型アルポート症候群では、男性では40 歳までに約90%の患者さんが末期腎不全に進行します。一方、女性では40 歳までに約10%の患者さんが末期腎不全へと進行します。末期腎不全へと進行した際は、透析や腎移植など、腎代替療法と呼ばれる治療が必要です。

<難聴>

生下時や幼少期に認めることはありません。しかし、最も頻度の高いCOL4A5遺伝子の異常に伴うX 染色体連鎖型アルポート症候群では、男性ではほとんどの場合10 歳以降に発症し、最終的には80%の患者さんで難聴を認めます。一方女性では20%の患者さんに認めます。

<眼合併症>

白内障や円錐水晶体などを認めることがあります。最も頻度の高いCOL4A5 遺伝子の異常に伴うX 染色体連鎖型アルポート症候群では、男性では約3 分の1の患者さんに認めると報告されています。一方、女性においては非常にまれと考えられています。

<びまん性平滑筋腫>

非常にまれな合併症で、良性腫瘍を発症します。食道に最もよく見られ、その他、女性生殖器、気管にも見られることがあります。

6) どのように治療されるのですか?

現在まで根治的治療法はありません。治療方針としてはいかに末期腎不全への進行を抑えるかに焦点が当てられています。具体的には、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬と呼ばれる薬の内服により、腎不全進行抑制効果(腎保護効果)を期待して治療を行います。治療開始は血尿に加え蛋白尿を認めはじめた時期とすることがほとんどですが、海外からは男性 患者においては診断がつき次第すぐに内服開始をすすめる報告もあります。

7) どのような経過をたどるのですか?

X 連鎖型の男性患者さんでは高頻度に末期腎不全へと進行します。男性患者さんの末期腎不全到達平均年齢は25 歳くらいと報告されており、その後、血液透析や腎移植などの腎代替療法が必要となります。また難聴により補聴器を必要とすることもあります。

8) 普段の生活に気をつけるべきことはありますか?

腎機能障害を認めない時期においては、原則的に通常の日常生活を送ることができ、生活上の制限は必要ありません。運動制限や食事制限も不要です。尿に蛋白が漏れるからといって、蛋白を制限したり過剰に摂取したりする必要はありません。ただし、尿潜血に加え尿蛋白を認める患者さんでは、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬の内服加療を行うことがす すめられています。これらの薬には脱水になりやすいという副作用があり、内服中は脱水に注意が必要です。腎機能が正常な時期でも、尿に大量に蛋白が漏れるとむくみがみられる場合がありその場合は運動量の調節が必要です。また、経過中に高血圧がみられたら、塩分制限を考慮することもあります。腎機能が低下しはじめると、その程度により運動制限や食事制限が必要にな ることもありますが、過剰な制限はよくありません。特にお子さんで成長期にある時期には発育の問題がありますので、原則的に蛋白制限などの食事制限はしません。

9) 妊娠はできますか?

X 連鎖型アルポート症候群の女性患者さんにおいては、多くは妊娠可能な時期に腎不全はありませんので妊娠・出産は通常どおり可能です。ただし、X 連鎖型でも重症例や常染色体劣性型の場合、腎機能に応じた対応が必要であり、容易とは言えない場合もあります。先述のアンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬には催奇形性があり、挙児を希望する場合にはこれらの薬を中止する必要があります。

この病気に関する資料・関連リンク

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